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ヒントはあの有名ハリウッド映画? 「STAND BY ME ドラえもん2」の八木、山崎監督に聞く - 時事通信ニュース

2020年11月21日12時00分

「三部作として完結させたい」と言う八木竜一監督(左)と「のび太やドラえもんが大冒険に出る話を作りたい」と話す山崎貴監督=東京都内

「三部作として完結させたい」と言う八木竜一監督(左)と「のび太やドラえもんが大冒険に出る話を作りたい」と話す山崎貴監督=東京都内

 すでに人気が確立された作品を新たな方法や視点で描くのは、一歩間違えば熱狂的なファンの猛反発を食らいかねない。その難題に挑み、見事クリアしたのが藤子・F・不二雄の国民的大ヒット作の3DCGアニメーション化に挑んだ2014年公開の映画「STAND BY ME ドラえもん」だった。

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 異世界での冒険を描く過去の「映画ドラえもん」シリーズとは異なり、主人公ののび太が結婚にこぎつけるまでの人間ドラマを中心に据え、作品は80億円超の興行収入をたたき出す大ヒットを記録。「STAND BY ME ドラえもん2」はその後日談で、結婚式当日に起こるハプニングを描く。今年はドラえもん生誕50周年の記念すべき年に当たり、「続編を作ることに異論はなかった」と言う八木竜一と山崎貴両監督に聞いた。

 タイムマシンで向かった過去で亡くなったおばあちゃんから「あんたのお嫁さんを一目見たくなっちゃった」と言われ、ドラえもんと共に結婚式当日の未来に向かったのび太は大人の自分が行方不明になったことを知る。「一体何が起きたのか?」。二人は姿を消したのび太を探すため、時空を超える旅に乗り出す。

 原作マンガの「のび太の結婚前夜」など複数のエピソードを組み合わせた前作同様、今作も「おばあちゃんのおもいで」など3作をベースにして物語を構成した。脚本を執筆した山崎監督によると、おばあちゃんのエピソードはもともとお気に入りだったが、「(存在が)強過ぎるので、前回はちょっと入れようがなかった。2作目と聞いて、まず『おばあちゃんから始めるべきだ』と思った」と話す。

 脚本の執筆作業は難航したが、スタッフの一人が何気なく口にした「結婚式でのび太が逃げたりして」との言葉がヒントとなり、「その後はすらーっと書けた」。今作の「1作目の出来事の裏ではもっと大変なことが起きていた」という物語の構図は、二人が好きな米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」(1989年)が参考になったという。

 物語では、大人ののび太の「ダメっぷり」をとことん強調した。これはかつて監督・脚本を手掛けた「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの主人公茶川竜之介(吉岡秀隆)の人物造形をした時の教訓から。山崎監督は「茶川さんを良い人にすると話がつまらないのに、クズにしたらすごく面白くなった。ダメな男が頑張るから面白い」と愉快そうに話す。

 劇中ではタイムマシンはもとより、どこでもドアや入れかえロープ、タマシイム・マシンなどのひみつ道具が登場する。物語を盛り上げるために新たな性質を一部加えたものもあるが、作者の藤子・F・不二雄へのリスペクトから映画オリジナルの道具は一切登場しない。「(原作の中に)すでにカタログが大量にあり、その中から選べば良かった」と山崎監督。それはあたかも「物語がひみつ道具を要求してくる」感覚があり、道具選びでプレッシャーやストレスを感じることは全くなかったという。

 八木監督は「F先生が考えた道具をうまく発展させて、シナリオに落とし込んでくれた」。中でも、どこでもドアを使って行方不明になった大人ののび太を探そうとする場面は、原作マンガにはない趣向でこれまでになかった絵を見せる。八木監督もお気に入りのシーンだという。

◇心理描写がより進化、表情もさらに繊細に

 両監督ともに、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ同様、山崎が監督した「永遠の0」「アルキメデスの大戦」など実写作品のVFXやアニメーション作品で知られる映像制作会社「白組」所属。二人の連名で監督を務めるのは今作で3作目だ。ストーリーラインは山崎監督が固め、実際のアニメーション製作は八木監督が行う形で役割を分担している。

 今作を手掛けるに当たって八木監督の頭にあったのは「前作でやり切れなかった部分、技術的、時間的にできなかったこと」を克服すること。中でも力を入れたのが「人物の内面の描写」だった。大人ののび太やおばあちゃん、新郎を待つ新婦のしずかちゃんなど前作以上にドラマチックな要素は強く、表情やしぐさの表現にはより繊細さが求められたという。

 「前回は、原作のマンガを立体化したらこうなるということをお客さんに見てもらうことが主眼で、大人には子供の頃の気持ちを思い出してほしいとの気持ちがあった。今回はより登場人物の思いに共振してもらえるよう、心理描写に気を使いました」(八木監督)。

 原作の「おばあちゃんのおもいで」で亡き祖母を思ってのび太が泣き出す場面も見事に映像化された。「マンガだと3コマを使ってドラえもんに怒っていたのび太が少し難しい顔になって、最後は泣き顔になる。それをリアルに解釈したらこうなりますと。何度もやり直しました」(同)。

 肌や髪の毛の質感、光の強弱、大勢の人々が登場する場面(モブシーン)などもグレードアップした。これらの表現には山崎が総監督、八木が監督(花房真と共同)を務めた2019年の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の経験が生かされたという。ほかにもバイクチェイスのアクションや未来の大都市、のび太が住む昭和風の街並みなど、ビジュアル面での見どころは多い。

 技術力は日々進んでいるものの、「(コンピューターの)計算が速くなれば、より高級な表現を使いたくなる。お客さんの目も肥えてくるから、ギリギリをいつも狙う」と八木監督。今作で表現力の進歩を印象付けたが、「まだまだ。『この人たちは確かに生きている』と実感してもらえるようなものを今後も精進して作っていきたい」と力を込める。

 ともに1964年生まれ。幼年時代からドラえもんに親しんだ。八木監督は「めちゃめちゃ自分に似ている」というのび太が大好きで、山崎監督はひみつ道具に代表されるSFとしての面白さに引かれたという。「全く古びない。ついさっき描かれたような新たな状態を今も保っている」と山崎監督。八木監督は「人間の核となるようなものやエッセンスがものすごくうまく物語に昇華され、それを面白おかしく見せてくれる」と話す。

 今後は今シリーズの第3作はもちろん、3DCGによる別の新作展開への期待も高まる。手掛けてみたい作品を尋ねると、ともに手塚治虫の「火の鳥」との答えが返ってきた。八木監督は「こんな時代だからこそ、人間の性(さが)みたいなものをCGで作れたら楽しいと思うけれど、(大変過ぎて)ちょっとなあと思います」と笑うが、その実現を望むのは筆者だけではあるまい。

 「STAND BY ME ドラえもん2」は11月20日公開。(時事通信社編集委員・小菅昭彦、撮影・入江明廣)

 八木竜一(やぎ・りゅういち)=1964年12月19日生まれ、東京都出身。CGディレクターとして「鬼武者3」などのゲーム映像やCM、テレビ番組などでも活躍。「friends もののけ島のナキ」で監督デビュー(山崎貴との共同監督)した。

 山崎貴(やまざき・たかし)=1964年6月12日生まれ、長野県出身。「ジュブナイル」で監督デビュー。近作に「海賊とよばれた男」「DESTINY 鎌倉物語」「ルパン三世 THE FIRST」などがある。

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