◇武川玲子コラム「ゴルフ米ツアー見聞録」
米ツアーのプレーオフ第2戦、BMW選手権はスペインのジョン・ラームが20メートルのバーディーパットを沈め、プレーオフ1ホール目で米国のダスティン・ジョンソンを下した。劇的な勝利からまもなく、「あの罰打がなければ、勝てなかったかもしれない」と振り返ったのは3日目のことだ。
5番パー4でカップまで13メートルに2オン。グリーンに上がると、ゴミくずでも拾うかのような自然な動きでボールを拾い上げた。直後、血の気が引くように凍りついてしまった。まだ、ボールにマークをしていなかったのだ。
「すっかりマークしたつもりだったから、ポケットにまだマークがあってびっくりした。他のことを考えていたのか…。まさか自分がプロになってこんなミスをするとは…」。痛恨の1罰打。2メートルのパットを沈め、どうにかこのホールをボギーでしのいだ。
ラームはあり得ないミスを大いに怒った。そして気持ちを切り替えた。「もう絶対にミスをしない」。集中力のギアを上げ、アグレッシブなプレーに徹した。その結果、誰もが硬いグリーンに苦戦する中、週末2日間のボギーはその1ホールだけという隙のないゴルフを展開。最終日は6位からの大逆転だった。
ジョンソンが18番でバーディーを決め、プレーオフとなったときはさすがに「あの1打がなければ」と思ったと言い、正直な気持ちも吐露した。もともとラームは感情をあらわにする選手。いら立ちで汚い言葉を発するプレーが目立った時期もある。「勝利を決めたバーディーパットも素晴らしかったが、3日目の5番で沈めたあのボギーパットは本当に大きかった。ミスの後、冷静にプレーできた自分を誇りに思う」。25歳のラーム、メンタルの成長がもたらした勝利でますます強くなるに違いない。(全米ゴルフ記者協会会員)
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September 02, 2020 at 10:31AM
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かつてはいら立ちで汚い言葉を発した男が『あの罰打がなければ勝てなかったかも…』ラームにBMW選手権大逆転Vをもたらしたメンタルの成長【武川玲子コラム】 - 中日スポーツ・東京中日スポーツ
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