56万7715人──これはアメリカにいるホームレスの人数だ。4555人のホームレスがいるとされる日本の約120倍にあたる。特に状況がひどいカリフォルニア州のロサンゼルスでは、2019年の間に16%も増加していたという。
この混沌とした街で「ホームレス問題」との終わりなき戦いを続けているのが、警察官である。
以前ホームレスに悩む近隣住民を取材した「ロサンゼルス・タイムズ」の記者が、今度は警察に密着。住民とホームレス、理想的な秩序と厳しすぎる現実に板挟みとなった「法の番人」の苦悩をあぶり出した。
テントひとつ退けるのに、膨大すぎる手間
無秩序、混乱、狂気。
これらは、ロサンゼルス市警巡査シャノン・ギーニーが向かう現場を表すのにぴったりの言葉だ。彼女は日々、ハリウッドでホームレスと向き合っている。
朝一番の呼び出しで、その日ギーニーはセルマ・アヴェニュー小学校近くの小さな公園へ急行した。「パパ・スマーフ」の名で知られている男性が、依存性の高さで社会問題となっている鎮痛剤「オピオイド」の過剰摂取で意識を失っていると通報を受けたのだ。
ギーニーが到着する前に、ロサンゼルスLGBTセンターから呼び出された看護師が、すでに拮抗薬を処方していた。それでもパパ・スマーフは反応しなかったので、ギーニーが看護師に3回目の点鼻スプレー薬を手渡すと、彼はようやく意識を取り戻したのだった。
また別の日の朝、ギーニーは近所を徒歩で巡回していた。市条例の定めた通りに、歩道からテント群が撤去されているか確認するためだ。ところが、その日はまだひとつだけ残っていた。
清掃班が周囲を片付けているなか、彼女はテントの持ち主に向かって話しかける。
「ここから立ち退いてください」
テントの女性からは返事がない。ギーニーはもう一度命令を繰り返すが、それでも応答はない。
「どんどんテントを片づけて。法は法なんです」
そうギーニーは清掃クルーの班長に詰め寄った。しかし彼いわく、そんなことは「ロサンゼルス市ホームレス・サービス委員会(LAHSA)」の承認なしにできないのだという。委員会の担当者もまだ到着していないようだった。
ギーニーは、8名の警察官からなる「ハリウッドのホームレス問題」専属チームの統括者だ。彼女はひとつ咳払いして携帯電話を取り出す。そしてエリック・ガルセッティ市長の「ホームレスサービス部門」代理人に、条例の定めることをすぐ遂行するよう求めた。
その横で、ホームレスの女性はようやく身の回りの物を集め、テントを離れる準備を始めている。
「この状況、完全にどうかしているわ」──ギーニーのこの言葉に反論できる人はいないはずだ。
ホームレス問題が制御不能の状態に陥った都市で、たったひとつのテントを動かすのに、市の部署をいくつ通す必要があるというのだろう。ちなみに今回の事例では、3つの部署に加え、ロサンゼルス市・郡双方に属する公的機関「LAHSA」とも掛け合うことになった。
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February 02, 2020 at 09:30AM
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ハリウッド、58万人のホームレスの絶望と向き合う女性警官─「豊かな街」は目の前の人を救えない…(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
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