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新型コロナウイルスでハリウッドはどう変わる?映画業界全体がサバイバル時代に突入 - IGN JAPAN

新型コロナウイルスによる都市封鎖(ロックダウン)が世界各地で続いている。ハリウッドも例外ではない。カリフォルニア州が封鎖してから3週間とちょっと。州知事は「ピークはまだこれからだ」と警告を続けている中、ハリウッドの大手スタジオはかつてないほどの苦境に立たされている。制作途中の作品は全て撮影休止。完成品の公開は軒並み延期。映画産業に従事していた人たちが大量に失業してしまった(英ガーディアン紙は新型コロナウイルスの影響で、ハリウッドでは約12万人が職を失った報じている)。元々アメリカのエンタメ産業では職種別にユニオンと呼ばれる組合があり、例えばADやヘアメークの人たちもユニオンに所属することにより、権利を守られてきた。しかし全ての現場が休止に追い込まれてしまった今、業界全体が危機に晒されている。

一方で、ハリウッドはこれまでの5年間、約6500億ドル(71兆円)を投じて動画配信へのシフトを図ってきた。この巨額な投資はAT&T、コムキャスト、ディズニーなど最強のメディア企業たちがこれからの時代を見据えて行ってきたものだ。これが期せずして大当たりしていることが、このパンデミックという悲劇のコインの裏側だ。今、地球規模で自宅待機や外出禁止が発令される中、「おうち映画館」がエンタメの新常識となった。配信サービスに特化しているNetflixやAmazonプライムなどは、大いなる勝ち組と言っていい。

今まで軽く見られていたストリーミングサービスだが新しい作品も映画館もなくなったこのご時世、涙が出るほどありがたい存在だ。そういえば2月のアカデミー賞ではNetflixオリジナルの『マリッジ・ストーリー』と『アイリッシュマン』は大手スタジオ系のブロックバスターと堂々と渡り合い、ストリーミングサービスの底力を見せつけた。見逃した人は両作品とも今すぐNetflixで視聴できる。

世界が「自宅」という小宇宙に集約されてしまったのでカンヌ映画祭のようなブランドネームのキャンセルの話も驚かない。でも、アメリカ映画産業にとって大きな痛手となったのがテキサス州、オースティン市発祥のSXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)の中止だ。ここでお披露目される予定であった『The 24th(原題)』という作品が大傑作の前評判であったがSXSWの中止で完全に埋もれてしまった。近々浮上することを祈る。

公開延期の憂き目にあった作品の無事も祈りたい。例えば007の最新作、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』監督のキャリー・フクナガは途中交代で登板してきた後、2度も公開日変更を経験している。新公開日の11月20日までもが流れてしまいませんように。

ソニーは3月31日に自社作品全ての延期を発表。ジェイソン・ライトマン監督が米国で7月に世に送り出すはずだった『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は2021年の3月5日公開になった。その日はソニーが総力を上げて取り組んできたゲーム原作映画『アンチャーテッド』が公開される予定だったがそこは「ゴーストバスターズ」に譲ることに。『アンチャーテッド』は来年の10月8日に延期された。

多くのファンが待ち望んでいた『ワンダーウーマン 1984』の全米公開は6月5日から8月14日にMCU最新作の『ブラック・ウィドウ』は5月1日から11月6日に。トム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』は往年の大ヒット作『トップ・ガン』の30年ぶりの続編。公開は6月24日から12月23日になった。そしてディズニーが満を侍して作り上げた実写版『ムーラン』は3月末から7月24日に移った (以上、全てアメリカ合衆国における公開情報)。

現在、大手スタジオは迷走中だ。とりあえず、各社がとっている解決策は、小さめの作品をオンラインでの販売やレンタル、あるいはストリーミングにまわして資金繰りにあて、あとはコロナウイルスが収まるのを待つということだが、これはあまり効果が期待できない。パラマウントは4月に公開予定であった『The Lovebirds(原題)』という作品をNetflixに売却したがそれに類似した叩き売りの情報は聞こえてこない。

再びNetflixに戻るが、話題になっている新作品がある。題名は『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』。リアリティショーともドキュメンタリーともつかない「タイガーキング」はしかし、ポスト・コロナウイルスのエンタメ界を暗示しているかもしれない。主人公はユーチューバーあがりのジョー・エキゾチックという猛獣愛好家。猛獣のなかでもとりわけ愛しているトラと一緒に過ごすため、私設動物園を開いた不思議で怪しい男だ。同業者のキャロル・バスキンとは犬猿の仲で互いにトラを虐待していると罵り合ううちに、殺人依頼や放火といった事件が勃発。アメリカ社会に根付いている、ブラック企業並みに汚い猛獣ビジネスがクローズアップされていく。この「タイガーキング」が、ロックダウン中のアメリカで大受け。事実、見ていると不思議と気が紛れるというか、心が癒されるシリーズである。

業界関係者の間では、大手スタジオの作る映画は予算も人手もかかりすぎているため、ポスト・コロナの世界にはそぐわないと言われている。それならば、ジョー・エキゾチックのようなユーチューバーを引っ張ってきて、「タイガーキング」のようなヤバさ100倍の作品を作った方が採算が合うのかもしれない。

大手スタジオの作る映画は予算も人手もかかりすぎているため、ポスト・コロナの世界にはそぐわないと言われている。

新型コロナウイルスで映画の世界は激変した。しかしエンタメの需要が減ったわけではない、むしろその逆だ。ハリウッドは今過渡期にある。家に引き籠ったまま楽しめて、情報や感想をシェアできるバーチャルな映画体験をどうしたら届けられるか。撮影のインフラをどう整備していくのか。問題は山積みだが、ひとつ確実なことがある。ハリウッドは転んでも決してただでは起きない。2022年には感染関連の映画が大流行すると言われている。世界が今直面している苦しさが、ちゃんとエンタメ化されてビッグ・スクリーンに現れるはずだ。その日が待ち遠しい。

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April 12, 2020 at 10:00AM
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