2020年3月1日 11:00
先日、4月24日に開幕を予定していたイタリアのウディネ極東映画祭(Udine Far East Film Festival)の開催延期が突如発表された。ウディネといえば、日本ではあまり知名度がないけれど、ヨーロッパで最大のアジア映画祭だ。
ウディネとは、オーストリアやスロベニアとの国境近くにある北イタリアの小さな街で、映画祭は今回で22回目となる。昨年、僕も「カンパイ!日本酒に恋した女たち」で招待してもらえて、参加者の映画愛と主催者のホスピタリティ、おいしい食事で満たされて、この映画祭にまた招待してもらえるような映画を作らなきゃなと奮起していた。
そんななか、今年の映画祭の延期が発表された。もともとは4月24日から5月2日の開催予定だったが、6月26日から7月4日に変更となった。
理由は、もちろん新型コロナウイルスの蔓延だ。イタリアを代表する観光都市ベネチアがある北イタリアでは感染者が急増しているため、学校を休校にしたり、移動を制限するなどの封じ込め対策が取られたりしている。そんななか、ベネチアから車で90分ほどの距離にあるウディネで行われる映画祭も、感染予防のために延期に踏み切ったという。映画祭には不特定多数の人々が集まるし、映画館やホテル、レストランなど密閉された空間が舞台となるためだ。また、アジアで新型コロナウイルスが蔓延しているいま、イタリアに渡航できないゲストも少なくない。
ウディネ極東映画祭の主催者は賢明な決断を下したと思う一方、ある疑問が頭をもたげた。他の映画祭は大丈夫なんだろうか、と。
5月12日には、世界でもっとも有名なカンヌ国際映画祭が幕を開ける。現時点において、南フランスでは感染者は報告されていない。だが、地続きのヨーロッパにおいて、感染率が高いウイルスを完全に封じ込むなどできないはずだ。もし早急に収束できなければ、ウディネ国際映画祭も再延期か中止を余儀なくされるだろうし、9月のベネチア国際映画祭も中止に追い込まれる可能性がある。
アメリカに関しては、感染が広がりつつあるものの、日本に比べればのんびりしたものだ。だが、このまま拡散が続けば、7月にサンディエゴで行われるコミコン・インターナショナルが中止となる展開も考えられる。13万人以上が会場に詰めかける世界最大級のポップカルチャーイベントは、ウイルス蔓延の温床となりかねないからだ。
新型コロナウイルスの流行が収束する兆しが一向に見えないなか、エンタメ業界の先行きもますます混迷の度を深めている。(小西未来)
(映画.com速報)
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March 01, 2020 at 09:00AM
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